社交辞令すぎて、ため息しか漏れない。私はグラスを手にしながら、周りに聞こえないように本日何度目かになるため息をついた。今日のパーティは、政治家・俳優・有力株主・財界の権力者など、ありとあらゆる各界の著名人を集めて行われているらしい。無論、その二世三世たちも来ている。そのほとんどが私と同じ年くらいの男の子なのは、おそらく見合いとかそういう意味が込められているに違いない。さきほどからひっきりなしにあいさつ回りが続いていたのもやっぱりそのせいなんだろう。相手方も気の毒だ。好意も抱いていない、どうでもいいような私に挨拶回りなど。


 恐らくわたしはこのパーティを多分この中で一番楽しめずに居るのだと思う。憂鬱で仕方ない。短髪の少し優男のような風貌をした議員の息子を適当にあしらった後に、私は会場の隅へと移動する。壁に沿って並べられた椅子に腰掛ければ、ふと右横から声を掛けられた。

 「随分と疲れた顔をしてるじゃないか」
 「え?」


 そんなに表情に出ていただろうか、と相手の顔を見ている余裕も無く慌てて頬に手をあてる。ああ、恥ずかしい。そんな表情のまま、人前に出ていたなどと思うと。冷や汗がつうっと背中を伝った。


 「冗談だよ」
 「う!」私は、どうやら不意を付かれたようだった。こんな事を言うの誰だろうという好奇心やら何やらでいっぱいの心を押しとどめ、ここはあえて淑やかに顔を上げて相手の顔を見ればどこかで会った様な仏頂面。しかも似たような事が前にも、一度あった気がする。「小高君?」
 「憶えていてくれて光栄だね、公爵のお嬢さん。まあ、貴方の噂を聞くかぎりでは普通の事なのかも知れないけど」
 ふっと、ニヒルな笑顔を浮かべて彼は首を少しだけ傾げた。

 「それはそれは、お褒めの言葉として受け取っておきます」

 私もニコリと業務用の笑顔を貼り付けて首を少しだけ傾げる。小高君が席を一つ空けた右隣に座った。


 「君も大変だと思うよ、まあ俺ほどじゃないけどね」
 「それはきっとお互い様。…そういえば、あそこで話してるの大臣の息子さんだって」
 私は、そっと視線をそちらに向ける。父さんと、相手方の大臣が仲睦まじく談笑しているのが見えた。隣にたたずんでいる息子を見る。ふてぶてしい顔。なんてこった、びっくりするほどに全くタイプじゃない。父親のセンスも品性も疑う。まあ土建屋の次男に惚れ込んでしまった私の言うことでもないかしら。なーんて、心の中で自嘲する。ばかばかしい。


 「ふうん、でそれがどうしたんだよ」
 どこか不満そうな(私の思い違いかもしれないけど)ふてくされたような、小高君。


 「父さんが随分と入れ込んでるみたいなの。でもね」
 「なんだよ、よかったんじゃないのかよ」
 「それがよくないの、」
 私は一個右隣の堰に移動する。小高君がびくっと肩を揺らした。こっそり、彼にだけ聞こえるように耳もとで囁く。




 「だって私、あなたに嫁ぎたいもの」


 「は?」


 「じゃあ、父さんが呼んでるから」私は行くわ、と言ってさらりとその場を後に。グラスに入っているオレンジジュースを一気に飲むと、酸味が喉を一気に襲う。歩いているボーイのサービストレイにグラスを返し、父さんに腕を振りさりげない様子で腕を絡める。父さんの軽口にも上機嫌で答える余裕さえある私。先ほどまでの憂鬱な気持ちのことなどすっかり忘れるほどに、私の気持ちは高揚していた。返事はいらないの。私に好かれてるのならば、問答無用。それは決定事項なの。












わたしの世界はいつか君だけの為に





(20101124)小高君かわいいですよね某所コグマくんでもすごくいいとおもいますすき! ずっとワクのターンの某動画の彼がいたたまれなさすぎて好き! おかねもちのぼっちゃんはネタに困らないような気がします。社交界とか色々パーティありそうですよね、たぎる。それを言えばコモちゃんもアンコちゃんも知ってそうそう。女の子かわいいようへうへ。