友人Kの自白





 そういえば私はこの世界の住人ではないの、と姉さんは言った。確かに姉さんはこの町内では少し異端な存在だ。姉さんほどの綺麗な人を僕は知らないし、芸能人やモデルになれるんじゃないかというほどのオーラが存在している……気がする。この世界とは空気が合わないとも言っていた。どうしてかは分からないけれども、この世界に飛ばされてきてしまったと、そう言っている。だから私は後1年も持たないと、そう聞いた。肺が悪いらしい。ぜんそく持ちで、たまにすごく咳き込んでいるのを見る。苦しそうで見ている僕が、つらい。

 そういえば、姉さんのところの父親も体たらくだと言う。顔がいいというのもあって女遊びが激しいらしい。毎晩帰ってくる様子はないし、帰ってきたとしても、家にあるお金だけを持ってどこかへ行ってしまうそうだ。そんな父親にお金を渡しちゃ駄目だ、と言った事もあるけれど気づいたら無いのと彼女は頼りなさそうに笑ってごまかすだけだった。『だって家族だから、しょうがないかな』とか、言っていた気がするけどしょうがなくない。姉さんが徹夜でバイトしているのもちょくちょく見かける。そういう努力をしているのに、それで稼いだお金をとられて悔しくは無いのだろうか。さらに、姉さんもよく殴られたりしているらしい。というのも体のいたるところに痣が残っているのを見せてもらった事があるから、だ。青い痣の中に、タバコを押し付けたような火傷の跡もあったりして、僕は姉さんの腕を直視できなかった。それでも姉さんは落ち込んだような顔を僕に見せたことは無い。心配をかけないように気を使っているのかもしれないけれど、僕と居る時はそういうことを忘れようとしているのかもしれない。

 そういえば妹が居ると言う話を一度聞いたことがある。妹は僕と同い年くらいの妹でもう一年も家に帰ってこないと言う。どうやら聞く話によると援助交際のたぐいをしているらしい。それでも月一で姉さんの学費は払ってくれているそうで、父親には内密にした口座で取引しているようだ。なんだか変な感じだと思う。



 そういえば、姉さんがジアースについて非常に興味を持ち始めているらしい。異世界から来ているという単語に反応したのか、彼女は懐かしい空気を感じる、と言って避難もせずに避難区域に突っ込んでジアースが出てくる様子を見つめていた事がある。僕が居なくなったことにも気づかない様子で、彼女は食い入るようにじっとジアースが戦う様子を見つめていた。

 次は僕の番だ、顔に妙な刺青のような模様が浮き出ているのがその避けられぬべき証拠で、姉さんはそれを見て何か思うところがあるらしく私もコックピットへ連れて行けと言う。連れていってくれるまでここを離れないからと、一日ずっと居座り続けている。

















(20101204)