デートだって言われたらそうかもしれないけど、本人にその気が無いんだからそうはならない。なんてそんな事になったのかっていうと、まあ私が原因なんだけれど。
 今現在私は、不破君を待っていた。レギュラーの決定も終わり、私の周りでは小島が部活メンバーに本性を現し始めたとか色々とあった様子で、みんなすごくびっくりしていたとか何とかしていたみたいだけど私にいたっては特に何も変わっていなかった。唯一変わったとしたらそれは不破君に対する認識くらいだろうか。ちょっと複雑。
 下を見れば少しオシャレで可愛い格好をしようとして頑張って花柄のワンピースを着てきてしまった私の足元が見える。花柄のフリルが私を馬鹿にしたように、ゆらりと揺れた。黒くてヒールの低いブーティも私を見下しているように思えてくる。不思議だ。お前に俺は不釣合いすぎる。といわれているような感覚。カラータイツのワイン色が目に染みる。唯一私を暖めてくれるのはふわふわのキャスケット帽くらいだろうか。白兎のようなもこもこの毛でつくられているので、一目見て一目惚れして買ってしまった一品だ。
 腕時計を見れば、まだ15分も早かった。早く着きすぎたかもしれない。でも楽しみだったから仕方ないのかななんて、少し思ったり思わなかったり。
 花時計の花をぼんやりと眺めていれば向かい側の喫茶店のお姉さんと視線が合ってにっこりと微笑まれた。つられて微笑む。



 道行く人たちを眺めていると、休日ともあってのんびりとした足取りの人やいそいそと進んでいく人とさまざまな人がいる。私はといえばのんびりと待ち合わせスポットで相当な緊張具合で待っていたりするわけなんだけれどもやっぱりこれはデートの域なのだろうか。でも、付き合ってすらないのにデートというのもおかしいのかな。でもでも。言い訳がましい「でも」が頭の中にあふれかえってきて少しこんがらがってきたけれど、状況を把握するためにひとまず最初から順序立てて頭の中で整理する事にしよう。








 最初、事の発端となったのは二時間目の授業が終わった直後の私の一言だった。

 「最近の映画って何やってるんだろう」
 「む、映画に行くのか」


 私がぼんやりとつぶやいていた独り言に真っ先に反応したのは席が近かった不破君で、私は思わず声のしたほうを振り返ってしまった。不破君はこちらを見ながら授業の用意を片付けている最中で、机の中に二時間目のノートをしまうと三時間目の授業のノートを取り出した。私も三時間目のノートを取り出す。


 「え、うーんと、面白そうなのがやってたら土曜日に行こうかと思って」
 「ならば俺も連れて行け」
 「え、」
 「嫌というならば諦めるが」
 「いいよ」


 しょんぼりとしたような声で彼に言われて断る馬鹿がいたら私はその人をハリセンか何かで叩きにいくかもしれないなんて妙な考えを起こしながら、私は気づけば頷いていた。断る理由なんて私には存在しないし、一人映画もわるくないけどやっぱり映画を見た後には感想を言える相手が欲しい訳で二人で見に行ったほうがとても有意義な時間が過ごせるんじゃないかななんて考えを後から考えてみたわけで。
 そんな即決でトントン拍子に物事が運んでしまっている事実が夢のような感覚。私だけこんなに優遇されていていいのかなんていう不安。女友達と映画に行くのとは少し違った感覚、だったりそうじゃなかったり。でも少し緊張するのは、不破君だからなのか男の子だからなのか。


 不破君のことは皆と一緒くらい好きではある。それに話しやすいし、面白い。気になる、意識してる?
 そんなまさか。実は不破君を狙っていた女の子に目をつけられるとかそんな事態になりかねない。女の執念は恐いどすえ、っていや、そんなことじゃなくて! 京都の女の人限定の事じゃなくて女の子は裏のある子はとことん裏があるとか嫉妬深いとか、あれ、ちがう、そんなことじゃなくて!
 …こんな時自分の想像力というものが恐ろしくなる。女の想像力はおそろしいどすえ、っていやそういう問題でもなくて!
 どうしよう、なんだか頭が余計にこんがらがってきたのかもしれない。


 「
 「わ!」不破君がいつの間にか背後に立っていた。「ふ、不破君!」
 「遅れて済まない」


 不破君が謝ってる! 感動するのはそういうのじゃなくて、いかにも不破君っぽい普段着だなとかそう言うんじゃなくて不覚にもときめいてしまったとかもうその程度のレベルの話じゃなくてもう普通にどきっと不覚を突かれたくらいの衝撃が私の全身を駆け巡ったみたいなそんなかんじの、言葉に表せないような感覚。


 「え、全然遅れてないよ。私が少し早く着いただけだよ」ここで不破君を真面目に直視してしまったら確実に惚れてしまいそうな気がして、私は俯きながら首を振った。「じゃ、行こっか」とかそんな感じの言葉を言ったような感覚で私は動きのぎこちないロボットのように動き出した。
 緊張しすぎて、どうにかなってしまいそう。












(待ち時間5分)






























不破君ってホントもうなんか理解できない所も含めて全部かっこいい。(20091224)