「僕から君にプレゼントだ!」



 KOHことキースは、イワンの前にを座らせる。の両隣にはカリーナとホアン。そしてホアンの隣にネイサンが座っている。キースと虎鉄でイワンが逃げ出さないようにがっちり両脇をホールド。そんな妙な構図を見ながらネイサンの前に座るアントニオはため息をついてに同情した。もちろんイワンにも同情することを忘れない。バーナビーは少し離れて静かにワインを嗜んでいる。この恋愛沙汰に首を突っ込みたくはないらしく、面倒くさそうにときおりこちらを見ている。ざわざわと騒ぐ一同を傍目に、バーナビーは静かにため息をついた。



 「えっ、えっ?」



 きょろきょろとするにカリーナが「わぁ! 綺麗な黒髪!」なんてさっそく食いつく。
 「やっぱりいつみてもキュートねぇ」ネイサンが華麗にウインクをする。
 「わあ、お人形さんみたいだね!」ホアンがきらきらとした目での両手を握る。



 「は、はじめまして! です……、って……え! シーモア社長!」
 あわわわわ先日はどうも、と明らかにぺこぺこしながら慌てだすにネイサンはぷっと笑いをこらえる。



 「いいのよ。そんな堅苦しいのはダーメ。ネイサンと呼びなさい」
 「…ねねねねネイサン!」と『さん』という敬称を頭の中でつけようとして、それだと『ネイサンサン』というふざけた敬称のつけ方になってしまう事に気づきいろいろと失敗したの脳内のキャパシティがオーバーヒートしそうになっていた。「そうそう」なんて楽しそうに頷くネイサンはいいおもちゃを見つけた子供みたいだった。



 「この子がちゃんかー。へぇ、日系なんだなぁ」
 このこのすっげー美人じゃねーか、と左隣に座るイワンを肘で突っついてイワンの耳元で「まだ告白してないのかよ」と呟く。それにイワンがぼっと顔を赤くして、虎鉄の方を向き直り小声で「な、何で今そんな事聞くんでござるか……!」と返す。にやにやとする虎鉄は、いいおもちゃをみつけた子供というよりもおせっかいな親戚のおじさんおばさんに近い何かを感じさせる。



 「二人はとても似合っていると思う、自信を持ちたまえ!」



 きらりと光る白い歯で笑いながら、キースはイワンの左肩を自身の右手でポンとたたく。イワンはどうしてこうなってしまったのだろうかと思ったが、まんざらでもなく感じている自分がいる事に気付いて、その事に気づかれないように苦笑した。










(20110818|×|わたしのためののばら)