イワンとがデートした事実はうっかりヒーローズにも知れ渡っていて、ニヤニヤしながらあの子がちゃんか、なんてイワンがからかわれる格好の材料となっていた。虎鉄さんがネイサンとカリーナ、そして悪乗りした残りのヒーローたちにそそのかされてイワンを映画に誘うフリをしてとあわよくば映画デートをさせようという妙な考えをおこしたらしい。の同僚に頼んだのはカリーナで、カリーナの友達の姉がの同僚らしくそこから情報がカリーナに駄々漏れだそうだ。トレーニングルームで、イワンはヒーロー達に囲まれていた。



 「これならちゃんのハートを完全ホールドできるに違いないって、ね!」
 「そうよ、そうしなさいって折紙。貴方ならできるわ」
 「いつまでそんなにうじうじうじうじみっともないのよ!」
 「ホラ、いきなさいよ!」
 「頑張れー折紙! 俺は応援しかできねーからな!」
 「愛を伝えるなんて簡単じゃないか! ハハハ頑張りたまえ折紙君! そして頑張りたまえ!」
 「頑張って折紙先輩」



 「あわわわわ……」



 (非常に散々な目にあった)
 (そして散々な目に合った)



 スカイハイのように頭の中で同じ言葉を繰り返してしまうくらいには散々な目にあったらしいイワンは、全員がじわじわと期待を寄せる中でどうすればいいのかイマイチ掴み切れていなかった。というよりも、彼女に思いのたけを伝えたところで彼女がメカニックであるが故にイワンよりも折紙サイクロンとしてのメカに興味があるのではないだろうかと考えているからだ。そして仮にも社内恋愛。そんなごたごたした中にを巻き込んでいいのだろうか、とイワンはぐるぐると同じところを回転しているかのようにの事を考えていた。



 はぁ、と言うため息。送り出されたイワンの、とても重たい溜息だった。










(20110818|×|わたしのためののばら)