べしゃあ、と今日もヘリペリデスファイナンスのメカニック担当部署にに勢いよく書類が舞い散る。またか、といったような冷めた視線が「あれさえなければ有能な社員なのにね」と冷たく物語っている。ため息やらなんやらが吐き出されて、当の本人はまたしてもデジャヴを覚えるように「すみませんん!」と謝りながら書類を拾い集め始める。またやってしまった、とがため息をつくと同時に廊下をかけてくるような音がした。何の音だろうと顔を上げると、車のブレーキ音のような音と高速ダッシュで走ってくる折紙サイクロンことイワンの姿が目の前にあった。あっと声を上げるまえに見事に彼はのぶちまけた書類に足を取られて、の上に倒れる。が床にべしゃりと潰れた。



 「う、うわぁ!」
 「おうふっ!」



 奇妙な奇声をあげながらつぶれ方をした同部署の社員に何だ何だとギャラリーが集まってくる。



 「おおおおおお折紙くうううん……きききい君はああ大丈夫かああああ!」



 潰れた社員よりも同僚やメカニックの社員たちはヒーローの心配をしてそわそわとせわしなく動く。ヒーローから「僕は大丈夫です」と控えめな返事が返ってくるが、「医療班を!」と言うメカニックたちに隙は無い。「そう言えば折紙くんに折り入ってメカニック部長から話があったらしいぞ!」「ついでに部長も医療班に連れてってもらえ!」「万年頭湧いてるからついでにボケてないか検査だ!」「メカニック一筋の部長になんてこと言ってんだお前!」「馬鹿! それより折紙サイクロンさんだよ!」社員がせわしなく動いて代表の一人が部長と折紙サイクロンことイワンをつれて医療班へと駆けていく。



 「あ、床で潰れてるどうする」
 社員の一人が思い出したように言うと、全員がそろって答えた。



 「そいつはほっといても大丈夫だ」



 「そ、そんなあ、ひどいですよおおお!」










(20110818|×|わたしのためののばら)