好きよ好きよも嫌いのうち、そんな言葉を聞いた気がしたのだけれどそうでもなかったのかもしれない。ベッドの上で情事のあとわたしは彼に「神父のくせに」と言ったら彼は決まってその端正な顔を歪ませ、眉間にしわをよせるのだ。その様子が私はおもしろい、おもしろがっているわたしに彼は「悪い子だ」と甘く囁く。そんな時間が幸せだと感じていたし、それが続くと思っていたわたしもわたし。いつまでも優しいと思っていた彼はもはやすでにその面影すら、どこへ行ってしまったのかわからないくらいに。



 「ジャスティン?」
 「、貴方は悪い子だね」
 「わたしは悪い子じゃないよ」
 「いいえ、貴方は悪い子だ」彼はわたしの頬に、その細くて白い指を滑らせる。「だから懺悔しなければなりません」
 「ざんげ?」
 わたしが首を傾げれば、彼はずるずるとわたしの右手を持ちあげて座り込んでいたわたしを無理やり立たせて言うのだ。



 「そうです、神に懺悔しなければなりません。己の罪を悔い改め、私についてきてください」



 そんな事を言われてしまったらわたしが彼に逆らえないことくらい、彼はきっと知っている。それを分かった上でやっているのだから彼は相当な策士なのかもしれないしそれは狂気の副産物なのかもしれなかったけれどわたしには真意はくみ取ることができない。何故ならわたしは彼ではないから彼の考えている事を完全に理解することなんてできないと思っているしきっと彼もそれを望んではいないだろうと思うから。余計な詮索はしない、だから彼も余計な詮索はわたしにしてこないのだ。それがわたしが彼と一緒にいる理由でもあったし彼が私と一緒にいる理由になっていたかもしれない。



 「はい」
 短く答えると彼は両手を合わせて指を組み己の信仰する神へと祈りをささげる。均衡を保つのは簡単だけれど均衡を崩すのも簡単だ。それまではわたしは彼についていくのだろう。両者の均衡が保たれている限り、恐らくわたしは彼から離れることもないし彼がわたしから離れる理由にはならないはずなんだと思う。思っているだけの自己満足かもしれないけれど、わたしにはそんな感じがする。どちらかが深く踏み入れたが最後、その脆い繋がりはいとも簡単に崩れてしまう。



 「いい子だ、
 「ありがと、ジャスティン。これからもずっと一緒」
 「貴方が望む限り神の加護が続く限り、ずっと一緒ですよ」



 わたしはこの笑顔に弱い、彼が狂気の中にこんなにやさしい笑みを隠し持っているものだから私は全て許せる気がしてしまうのだ。わたしはジャスティンに甘い。そしてそれと同じくらいに彼もきっとわたしに甘い。だからこそお互いに傷を舐めあい、いつまでもこんな関係のままなのだろう。でもそれを失くしたくない気持ちが私の中で芽生えている。わたしの心はあついのだ。






 「愛しています、ジャスティン。たとえ心がここになくても」
 「私もですよ、










情熱とダンス、破滅とセックス







お題 ::しゅろ 様





(20110326)吐きそうなほど甘い狂愛の需要とか謎すぎる^^^^