駄目だと思った時にはもう遅かった。気づけば彼は私をソファに押し倒していたし彼は殺そうと思えば殺せたはずなのに私を殺さなかった。それだけでも私は不幸だったのか幸いだったのか理解ができなくなるくらいには混乱していたのに。彼はそんな私に乱暴に唇を押し付けてくる。考えたくはなかったし考えられなかった行為に私の脳細胞はきっと五割は思考放棄していると思う。こんなに欲望を曝け出す人ではなかった彼を何が変えてしまったのだろうか、私には理解が及ばないけれどもただ一つ鬼神が復活したというただ一つの事実が彼を劇的に変えてしまったのかもしれない。それも今となっては私に分かる事ではないのかもしれない。






 「…どうして、こんなこと」
 「もはや全て必要は無くなってしまったのですよ、悪い子は新たなる神の元にそれ相応の罪を償わなければならない。それだけです」
 「や、」



 やめて、と紡いだはずの言葉はまたしても彼の唇にふさがれ最後まで紡がれることは無く、彼の端正な顔が何かに歪んでいるということは分かる。これが狂気なのだろうか狂気とはこんなにおそろしいのか。私の中を数々の疑問が駆け抜けては消えていく、彼は問うても答えてはくれないだろう。黙ってついてこいと言うだけなのだろう。そんな彼についていくのもいいかもしれないと思ってしまう私は、すでに狂気の中なのだろうか。



 「、貴方は美しい。これは貴方を手に入れたいという独占欲なのかもしれませんし私が貴方の美しさに嫉妬してしまっているのかもしれませんね。どちらにせよ、私が少しばかり背徳的な行為をしているのかもしれないのは紛れもない事実ですが」
 「だったら…」
 「貴方に紡いでいい言葉など存在はしないのです。貴方は私の所有物にすぎないのですから」
 もはや口答えする口すらもいらない。



 ぞわりとした。これは寒気だろうか、殺気だろうかもはや区別のつかない何か。神にささげたはずの彼の体は今私のものなのかもしれない、でもそれは本当に恋焦がれていた彼なのだろうか。優しさに満ち溢れたような笑顔はどこに消えたのか、それはもはや虚構の産物でしかなかったのか。私は彼の降り注ぐ唇に身を任せる。



 「愛していますよ、



 それは、喉から手が出るほどに求めていた言葉だっただろうか。私は目を瞑る。
 そして、









 ああ、なんて背徳的な。
 (これが神を信仰する男だっただろうか)










背徳 にキスして






お題 ::しゅろ 様










(20110326)ジャスティンさんについての知識が乏しいのは知ってるんだ。「あれ、君だれ?」 ジャスティンイメージが狂愛でドSすぎる件。