(ねぇ、聞いた?) そんな切り出し方で始まる女子同士の噂話ほど恐いものはない。私は日々その恐ろしい話に耳を傾けながらいつ自分がその噂話の犠牲になるかと心の底から怯えていた。自分の知らないところで、自分が誇張表現の餌食になっていると考えただけでも虫唾が走るくらいだ。私は言うならば正々堂々と言えと言いたいところだったが、生憎のところそのような目立つ言動をとってしまえば彼女たちの噂話の餌食になる事は目に見えて分かっていた。 いやだいやだとうわごとの様に呟きながら公園のブランコをゆらゆらと揺らして私は空を見上げた。 「何がイヤなんだってばよ」 そんな公園での私の独り言に突っ込みを入れてくる物好きは一人しかいなかった。うずまきナルトである。 彼はことあるごとに私が一人でいるところを付けねらっているのかどうか知らないが、私が一人でいるときには確実に話しかけてくる。別に億劫でも面倒でもなかったが、ただ単純に不思議だった。私の両親は彼とは関わるなの一点張りだがこの無邪気で純粋そうな目をしている少年に害があるとは思えなかった上に、私個人としては彼のよく分からないその瞳が何を見ているのかが気になって仕方なかった。ただ純粋に好奇心が湧いているだけとも言えるが、私としてはもう少し何か違うものに感じた。 「面倒ごとに巻き込まれたくないんだって私は」 「ってば、いっつもそればっかり」 「『面倒な事には関わらない・首を突っ込まない・見ないフリをする』のが私のポリシー」そして勢いよく揺らしていたブランコからひょいと飛び降りる。うずまきナルトの前に華麗に着地。「だって、無駄な労力使いたくないもの」 「の考えてる事ってやっぱわかんねーってばよ」と、目の前の彼はやはり困ったように頭を抱えた。私はクスクスと笑う。 「だって、損じゃない。自分に全部嫌な事が返ってくるなんて」 うずまきナルトは「っていっつもそんな事考えてんのか?」なんて腕を組みながら聞いてきたので「そうよ」と答えると、彼は「ってばリロンテキだってばよ」なんて彼にしては少しばかりマセた言葉を使った。私はそれがおかしくてクスクスとまた笑う。彼は更に首をかしげた。 「あ、そういえば、」 「なーに」 彼がふと話題を変える。私は近くの木にもたれかかりながら彼の話に相槌を打つ。 「今日さ、オレの誕生日なんだってばよ」 「え、」私は唐突な事態に戸惑う。「誕生日プレゼント何も用意できてないよ」 「そんなんじゃなくてさ」 彼は真剣な、その瞳で私を見据える。 「一緒に、祝ってほしいっていうか」そして言葉に詰まる。「なんていうかなー」 「あ、それくらいなら私に出来る?」 プレゼントは唐突に言われたから一瞬で用意できるはずもなかったが、一緒に祝うくらいなら今の私にも出来そうである。 「誕生日会とか、そういうのやりたいんだってばよ」 「やろうよ」私は彼の頭をわしゃわしゃと撫でる。「ほら、じゃあ買い物行くから」 「何で?」 彼はきょとんとして、彼の腕を掴んで引っ張った私の顔を不思議そうに眺めた。 「何でって、まあ色々買いに行くものがあるでしょ」私は例を挙げる。「例えば、ケーキとか蝋燭とか、クラッカーとか」 足りないものなんていくらでもあるんだから、せめて形になるくらいはいるんじゃないの?と私が問いかければ、彼は納得した様子でその瞳をぱあっときらめかせた。そして逆に私の手を引っ張りながら街へと進む。 「じゃあさじゃあさ、でっかいケーキ買って二人で半分にして食べられる?」 「そうだね、まあ予算もあるからそんなに大きいのは買えないかもしれないけど」私は両方の手のひらで丸を作る。「このくらいなら大丈夫」 「本当か!」 「まあ値段次第だから!」私が言えば彼は「よっしゃあ!」と声を上げて喜んだ。 たまにはこういうのも悪くないかもしれない、なんて思いながら私はナルトに引っ張られながらこれから選ぶケーキの種類に思いを馳せた。ケーキなんて久しぶりだからとても楽しみである。前を行くナルトを追いかけながら私は知らず知らずの間に微笑んでいた。 (ねぇ、聞いた?)(今日ってあの、うずまきナルトの誕生日なんだって)
御題提供:鴉の鉤爪様
あとがき! 誕生日ですおめでとうございますと言うわけで溜めていたナルト夢を持って参上しましたヒャッハア!どうもナルト久しぶりに書いた気がしますこれは佐野君祭り(別ジャンル)が続いていたせいですねわかります☆(←)ナルト書きたい衝動とアンケート表の増え方とナルト誕生日がマッチングしたのでノリで書き上げてしまいましたヒャッハア!え、何でこんなにテンションが高いかって言うと深夜帯だからだと思いますヒャッハア!(←)何だかもう最近忙しくてヒャッハアがヒャッハアでヒャッハアです。意味が分かりません、欝です。(20090921サイカ)←しかし米国帰りでサイトうpをすっかり忘れている漣乙^^(20091022サイカ) 100:Clown(道化役者) |