ごろりと布団に寝転がる。嬲られた後の倦怠感、何もする気力はおこらず自らに起こった事態も掌握する前に意識を失い無理やり意識を引き戻されまた失神することを繰り返すような、思い出すだけでも反吐が出る出来事の後、私は腕やそこかしこについた傷跡をぼんやりと眺めていた。こんなものはすぐに治るのに、心の傷はいえることは無い今後何千年と引きずっていくことになるなんてわかりきったことだったのに、私は目を閉じる。








 もはや何もかもに慣れてしまっていた私は高い天井を仰ぎみる事しか叶わないのだろうか、
 どうでもよくなっていた。
 私がどうなろうと、私たちの未来がどうなっていこうと、




 救いを求めても報われるはずはないなんて思う事しかできずにいた、私を救い上げてくれる存在なんてまだその時は存在すらしていなくて。ただそんなどうでもいいような毎日を過ごすだけにとどまっていた。ごく稀に窓の淵にとまる鳥を眺めては、自分に翼があったならと夢のような事を考えて夜になれば現実に引きずり戻される。ずるりずるりと、どんどん自分が落ちていくような感覚。泥沼に嵌り、抜け出すこともかなわずにじわじわと体を浸食されていくように、私は彼らに浸食されているのだろう。辛いと一言では表すことができない、辛くもないわけでもないけれども、それがあるべき日常に過ぎない私はそれを受け入れる事しかできない。




 弱い、
 私は弱い立場なのだ。




 他者に利用されることでしか存在を確立できない程度に、その程度の存在でしかない。ならばなぜ私は生まれてきてしまったのだろうか。ぐるぐると考え出せば止まる事のない自問自答は、私の頭の中に根を張り動こうとせずにのうのうと居座り続けている。ずうずうしい奴だと哂ったところで、奴らは私の中から決していなくなることなんてないのだろう。




 (こんな思いしかしないくらいならば、いっそ、)




 ぎり、と歯ぎしりをする。




 (切って捨ててくれた方がどれほどマシだっただろうか)




 嗚咽を噛み殺しながら、私は寝返りを打った。瞳の奥から湧いて出るように流れ落ちてくる水分は、やがて布団にしみ込んでいくこともなく液体から固体へと化学変化をおこしては、ぽろぽろと床にこぼれ落ちていく。散らばっていく固体はきらきらと輝きながら、私へのあてつけや皮肉のように私を嘲笑うのだ。どうしてこんな目にあうのか、辛いのは私だけではないのにと自分に理由をつけてみてもそれは無駄なあがきでしかなかった。




 (おそらくすべては奴の掌のうえに、)




 そう考えれば考えるほどに、その考えが正しいことしか分からずに悔しさと何もできないもどかしさがこみあげて、さらさらと雫は流れ落ちていきながら固体へと変化していく。ぱらぱらと散らばる宝石のような輝きをはなつその石のようなその塊が、私の中のすべてのわだかまりのようなものを体の外へと吐き出してくれればどれほどよかったのだろうか。そんな無益な事を考えながら、私はまた虚構への眠りに落ちる。






















(20110704:titleソザイそざい素材 ) こういうのも大事よね