私は、朝食までご馳走になりホロホロ君の家を後にしました。
 玄関口で靴を履いてトントンと、かかとを直しながらホロホロ君一家に手を振ります。「また来いよ」と、笑顔で手を振り返してくれるホロホロ君一家を名残惜しみながら、私はがらがらと玄関口をくぐりました。先日の羅?を思い出しながら私は、彼もきっと夜空を見ていたのだろうなと思いました。



 それからしばらく私は一人、ぽてぽてと道なりに歩いておりました。バスが出る時間まではしばらく時間がありますし、私は人っ子一人いないバス停でぼうっとしながらバスを待っておりました。バスはいまだに来る気配なんてありません。静かな静寂の中で流れる鳥の声と、森の揺れる音を聞きながら私は瞬きをしました。その時でした。



 「お前が、翆子か?」
 「え」



 唐突に、私の横に人が現れていました。先程まではいなかったのに、どうしているのだろうという疑問がふつふつと湧きあがって来ました。私は、はっと気づいて彼を睨みました。セイレーンを静かに呼び出して、隣に立たせます。彼からは、ただならぬ空気を感じました。



 「あなたは…」
 「ほう、一発でオレが司祭だとわかるとは頭の回る人だな」
 「え、そうなんですか?」
 「分かってなかったのかよ!」



 頭をポリポリと掻くと、彼はうーんと唸って「まあいい、よく聞け」と言いながら話し始めました。



 「オレはパッチ族のカリムだ。シャーマンファイト運営委員をしている者だ」
 「母上の知り合いの方ですか?」
 「まー、そんな所だな。制限時間内にオレに一撃食らわせられれば合格っつーことでこのオラクル・ベルをやる」



 「一発で、いいんですか?」
 「まーな」彼はそう言うと、「じゃあ始めるぞ、チャンスは一回だけだ」と戦闘準備を始めました。
 私もセイレーンと視線を合わせ、頷き合いました。こんなに強そうな人との実践は初めてだったので、私は少なからず緊張をしていました。セイレーンは任せなさいと言っているようにニコリと笑いました。セイレーンのその気持ちにこたえるためにも、私は頑張らねばなりません。



 そしてホロホロ君のためにも、
 ピリカちゃんのためにも、
 ホロホロ君の両親のためにも、
 期待をしてくれた母のためにも、
 隣にいるセイレーンのためにも、



 私は頑張らねばなりませんでした。
 だから、私は彼に対して全力で誠意を持って戦わねばならないと覚悟を決めてセイレーンを、私の銀製のネックレスへとオーバーソウルしました。私は、そのまま彼への攻撃に移ります。私の攻撃は近距離ではなく遠距離なのである程度の射程距離内に相手がいさえすれば、攻撃は確実に相手に当たるのです。












 そして、十分後。
 ひゅうひゅうと風が吹いて、彼は「合格だ、お嬢ちゃん」と言いました。
















(ヨハネの再来)






























ごめん、いろいろとハショりました。(20100204)