きっと私たちを傍から見たらきっとおかしな二人組みなのでしょう。 方や普段着で、方や見合いの着物。 その上私などは着物に運動靴なのですから、おかしな組み合わせな事この上ありません。私はせめてブーツにしておけばよかったと悔やみましたが時は既に遅く。もはや家などは、はるか後ろのほうに小さな点ほどにしか見えず靴を履き替えることは困難でした。その上、今戻った所でホロホロ君の苦労を無駄にしてしまいます。だからもう後戻りは出来ませんでした。 それにしたって、私は一体なぜホロホロ君が私をわざわざ迎えにきてくれたのか全く分かりませんでした。全く分からぬままにして私はホロホロ君に腕を引かれながら走っていました。河川敷沿いの道はまだまだ続いていました。河川敷へ降りるための坂の下には何人かの恋人たちのような姿がちらほら見えました。私には、皆一様に幸せそうな様子に見えて少し羨ましい気持ちになりました。私の場合、ホロホロ君に一方的に片想いをしているだけであってまだ恋人ではないのです。ホロホロ君から見たら私なんて小さいくせに四歳も年上なのです。 そこで少し私は考えました。 私の気持ちは変わる事はないでしょう、しかしホロホロ君は私の事をどう思っているかなんて分かりません。それでも迎えに来てくれたのは単に姉のような親しい存在として危機的状況に陥っている私を救ってくれただけという可能性があります。要するにどういう事かといえば、彼には私のような恋愛感情は無く、ただの人助けにすぎないという場合でした。私は何でこんな簡単な事に気づく事すら出来なかったのでしょう。 否、気づけなかったのではなく意図的に気づかなかったと言うのが正しいかもしれません。 私は自己陶酔もいいところでした。 ただの自己満足でした。 だからこそ、彼の本当の気持ちを聞きたいと思いました。 彼に気持ちを聞く事が、恐ろしくないと言えば嘘になります。それでも、私は彼の言葉が欲しかったのです。例えそれが悪い答えでも私は全て受け入れる覚悟が出来ています。いい答えだった時は、多分私は生きていた中で一番幸せな気持ちになるのでしょう。 ホロホロ君の気持ちはどうなのでしょうか。 私は口を開きかけてやめました。 本当は聞きたくて聞きたくて仕方がありませんでした。それでも話そうとするたびに息が上がってきて話す事が困難でした。いつの間にか息をするだけで精一杯でした。私は自分の持久力の無さに泣きたくなりました。彼は、うんともすんとも言わずにただひたすらに走っていました。 だから私も、ただひたすらに走る事にしました。まだ、ホロホロ君についていく余裕はありました。どこまで行くのかは分かりません、それでも彼の後ろを離れてしまえばもう二度と彼の後ろを歩けないような気がしたのです。私は彼の手をぎゅうと握って必死に彼の後についてゆきました。 ホロホロ君がぎゅうと手を握り返してくれたような気がして、私は少し頬が綻びました。
(受動態)
▲ ホロホロ君13歳にしてヒロインは17歳。(20100112) |