先程から居間でのんびりとテレビを眺めているわけですが、私は初めて見るバラエティ番組がとても面白い事に感動していました。家では絶対にニュースしか流れる事はありませんし、両親がこのような俗物的なテレビを嫌っている気もあって私がバラエティ番組を見るのはこれが初めてでした。私があまりにも感動してテレビから離れないのを見て、ホロホロ君がびっくりしたほどです。 「、ほんとに見たこと無ェのかよ」 「初めて見ます!」 私がきゃあきゃあとはしゃぎながらバラエティ番組を見ているのを、ホロホロ君はまるで不思議なものを見るかのような目で見ていましたが本当に見たことの無いものは見た事がないので感動モノです。バラエティ番組と言うのはお笑い芸人の人がコントと呼ばれる掛け合いをするもので、面白おかしい語り口調がとても素敵で面白いものでした。いちいちボケた人に対して突っ込みの人が裏拳で突っ込みを入れたり、変なポーズをしたり、身振り手振りをアメリカの人のように大きくしたりと、とても不思議で新しく斬新な番組に見えました。 「私がテレビで見るのは落語かニュースもしくは天気予報ですから」 私が目を輝かせたままホロホロ君を振り返れば、ホロホロ君はきょとんとしてオレはそっちのほうが見ねェと笑いました。さすがに天気予報は見るでしょうが、高校でも落語を見る友人は珍しいので私の家は少し外れているようでした。 『なんでやねん』 『そんなわけあらへんやろ』 どっと観客の笑い声が上がるところでくすくすと笑いがこみ上げてきます。このような話で人を笑わせる事が出来るなんてとても凄い人が世の中にはいるのだなあと思いました。 「『なんでやねん』」 自分で真似してみると余計におかしくてまた笑いがこみ上げてきました。 「ホロホロ君、」私はバラエティ番組が終わってしまったのを名残惜しく感じながらどこかのチャンネルでまたやっていなかとチャンネルをぱちぱちと変えました。「『なんでやねん』、って面白いですね」 「そーか?」ホロホロ君は私の笑いのツボがいまいち理解できないようで、うーんと首を傾げます。「普通だぜ」 「初めて見ると衝撃的で面白いです、『なんでやねん』」 私が『なんでやねん』を思い出しながら、ほややんとした気持ちに浸っているとホロホロ君が少し考えてこう言います。 「大阪に行けばたくさん会えるんじゃねェかな」 ホロホロ君はいつものように、ニッと人懐っこい笑みを浮かべました。 私は不覚にも少しどきっとしてしまい、わあっと顔が熱くなるのが分かりました。私は慌ててクッションに顔をおしつけて、ホロホロ君に私の真っ赤な顔を見られないようにします。私の『どきっ』としたそれは、大阪に行けばたくさん『なんでやねん』の人に会えるということからきている『どきっ』なのか、ホロホロ君がカッコよかったことからきている『どきっ』なのかは私には分かりませんでしたが、そのどちらもだったらどうしようと思い、またどきっとしました。 ふとした瞬間にふとした仕草が気になってから、不覚にも年下と分かっていながらもドキッとしてしまう私は病気なのかと思い始める今日この頃。願わくばこの日常がずっと続けばいいななんて、それは甘い考えにすぎないのかもしれませんが。
(かたこひ)
▲ それは淡く甘いこいの芽生えかもしれない。(20100108) |