ちゅんちゅんと、鳥の声が聞こえてきます。
 慌てて飛び起きた私ですが、気づけば日は高くまでのぼっていました。時計を見れば8時少し前を指しています。今日が連休での真ん中の日でとてもよかったと思いました。よもや学校に遅刻したのではあるまいかと思って一瞬焦りに焦った私でしたが、そんなことは全くありませんでした。ほう、と安堵のため息をついて着替えに手を伸ばし、着替えを済ませてしまおうと帯を緩めます。
 今日はワンピースでも着ようと思いながらボストンをごそごそと漁り、インナーとワンピースを取り出してそそくさと着替えます。寒いのでタイツも取り出して履きました。ボストンのチャックを閉めて、布団を畳みコンパクトにまとめてふちのほうに寄せます。浴衣は取り合えず洗濯をしなければならないと思い畳んで持っていく事にしました。


 庭を見ながら廊下をのんびりと歩いていると、今起こしにきたらしいピリカちゃんと鉢合わせました。


 「おはよう、さん!」
 「おはようございます」
 にこやかに微笑み返せば彼女は明るく屈託の無い人当たりの良さそうな笑顔で微笑み返してくれました。朝の挨拶はとても気分が良いものになると聞きましたがその通りだと思います。


 「あ、ごはん机の上に置いてあるので良かったら食べて下さいね!」
 「ありがとうございます、あ、あの洗濯物は…」
 私が夕べ着た浴衣を出すと、ピリカちゃんは手際よく手に持っていた洗濯籠に放り込みました。


 「私が洗っておくから大丈夫!」
 「居候の身なので、手伝える家事がありましたら言ってくださいね」
 「そんな! さんはお客さんだからそんなことする必要ないですよ」
 「でも何か悪いです、私の都合でご迷惑しているわけですし」


 「大丈夫、ほら朝ごはん食べて元気出してください!」
 彼女は自信満々にそう答えると、すたすたと廊下の角を曲がって見えなくなりました。


 「ありがとう、ピリカちゃん」
 私は朝食の席へとのんびりと進む私。見合い戦争だと言うのに城内は平和。かつての戦国時代も、もしかすると城内は若干の緊迫感はあるものの平和だったのかもしれませんでした。まあこれは私の想像なので確証は無いわけなのですけれど。


 私は昨日、夕食を食べる時に通った廊下のルートを思い出しながらのんびりと廊下を歩いてピリカちゃんお手製ご飯を食べるために更に歩みを進めました。ところどころ床板が鴬張りになっているせいか、歩くたびにきゅうきゅうと床板が音を立てました。その度に私はひやっとするわけですが、何も悪い事をしていないのに何かの気配を感じてひやっとする気分に似ていて慣れるまでには少し時間がかかりそうです。



 廊下の突き当りを左に曲がって、ようやく母屋の居間が見えてきました。そして途中でホロホロ君が朝から腕立て伏せをしている光景に出くわし、頑張ってるなあと思いました。私は、台所へと行く為にホロホロ君の練習している庭の一角を横切るように通っている廊下を通ります。ホロホロ君をみれば、相当額に汗をかいているので私が起きる随分と前から筋トレをしていたのでしょう。随分と息が上がっているように見えました。


 「…はよ」
 「おはようございます」
 朝から凄いなんて声をかけてもいつも通りだと返されたら少し気を遣えていない人のようなので、喉まででかかった言葉を飲み込みながらにこやかに朝の挨拶をしました。


 なんて平和な朝なのでしょう。家にいたらもう少しバタバタとするんだろうななんて思って私は苦笑すると台所に入り、机の上に載っているご飯と味噌汁に手をつける事にしました。












(云うなれば、自由)






























北海道の住宅は確か大きかったような気がします土地が広いから地価も安いみたいな
…うろ覚えですが。(20100107)