生存せよ、生存せよ 存命せよ、存命せよ いき永らえることに、意味がある いき続けることに、価値がある 呼吸する音、ひとつひとつに 存在する何かを、確かめながら 二.無抵抗生存権里をなんとなく歩きながら、オレはボーっと考えていた。 ――さーてとっ、誰を集めるか。 と思ってはみたが、凡そのメンバーは既に決まっている。 まず始めに、チョウジ。 奴の行動パターンは長年の付き合いから大体分かるからこっちとしても動きやすい。 だから手始めに、コイツの家に向かっている途中だ。 スナック菓子も、一応持ってきたし、準備は整っているといってもいい。 まあ後の奴はどうでもいいが大体戦力になりそうなのがネジ、五月蠅さを抜けばキバ、ナルトあたりか。 大体、「お姫さま」とやらの護衛程度の任務なら三人で事足りるはずだからオレとチョウジと、…もう一人。 と、物思いに耽っていた最中、誰かとぶつかったようだ。 ドンという鈍い音とともに、悲鳴にまでは至らない声が上がる。 「…うおぁ!」 「うあああぁっ! すいませんっ」 ぶつかる両者、ともども地面に尻餅をつく。 「痛ぇ…」と知りについた砂を払いながらオレがが立ち上がると、目の前には日向ヒナタがいた。 「大丈夫か」声をかけると、「…大丈夫です」と案の定、蚊の鳴くような細い声が返ってくる。 めんどくせえ…と思いながらも、ふと考える。 ――オレが頭脳戦でチョウジが肉弾戦、とすると…白眼が使える透視能力を持つヒナタは適役か… そこでオレの脳内で作戦行動が無意識のうちに構成されていく。 ――まあ、護衛するのは「お姫さま」って訳だし、女が一人ぐらいいたほうがいいのかもしれねえな… 考えがまとまると、ひょい、と立ち上がり傍らでゆっくりと立ち上がるヒナタに視線を向けた。 「おいヒナタ、お前これから暇か?」 「え、あ、…私…暇ですけど…」 「めんどくせーけど任務だ、内容は歩きながら話す。じゃ…行くぞ」 「…はい!」 というわけでメンバー、一人決定。 「というわけだ。わかったな?」 「はい…一応。…それでシカマルさんはどこへ向かっているんですか?」 ヒナタに不安げに問いかけられたオレは奴の家の前まで来ると ポケットからおもむろにスナック菓子を取り出した。 何かわからずに一瞬首をひねったヒナタだったが それから連想するものを思い出してぽんと手をたたく。 「食うの、手伝ってくれ」 「…はい」 そう、これはチョウジを誘うための誘導作戦だ。 スナック菓子の最後の一枚を譲らない、というチョウジならではの食い意地を利用した単純明快な作戦である。 二人でパリパリとスナック菓子を頬張っていると、部屋の中からカサカサと物音が響き始めた。 「これでよし、と」 見事、最後の一枚になるまでスナック菓子を完食した彼らの前に、すばやい動きの何かが通る。 スナック菓子の袋には、もうスナック菓子の『最後の一枚』は存在していない。 すばやい動きの先には、勿論のこと秋道チョウジがパジャマ姿のままで最後の一枚を片手に存在していた。 「この一枚、だれにも譲らない」そして、スナック菓子をひと齧り。「それがボクのポリシーだあああ!」 「とまあこういう風にだな、簡単に起こすことができる」 「…すごい…」 オレは解説口調で簡単に説明すると、こいつ着替えさせてくるから待ってろ、と言って チョウジの家へと押し入っていく。 状況判断が追いついていないだろうチョウジに簡単に 「護衛任務だ! 早く支度しろ、バカ!」と言って動きを急かす。 と、一方のチョウジは、「えー、また任務なのォ―??」とぼやきながら、のろのろと着替え始めた。 数分後。 着替え終わり朝食のパンを片手に持つチョウジを引き連れて、シカマルがチョウジの家から出てくる。 「じゃ、めんどくせーけど、行くとしますかねっと」 「おー!」と、チョウジ。 こくり、と小さく頷いたヒナタもそろそろと俺とチョウジの後ろから着いてきた。 三人そろったところで、オレたちは木ノ葉の里の出口へと向かう。 *** 「ただいま出立した模様です、綱手様」 報告が綱手の元に入る。メンバーの名を聞くと、まあそんなところかと綱手は安堵のため息をついた。 それにしても、蓮華城からの依頼とは珍しい…と空を優雅に飛ぶ鳥をなんとなく眺める。 最初に依頼したときに感じた嫌な予感は、今はもうすっかりなくなってはいたものの、やはり不安である。 一度、身に迫る何か、冷たくぞわりとした危険で不穏な空気を感じたのだ、やはり不安は拭い去れなかった。 シカマルならば、『姫の護衛』程度のCランク程度の任務で失敗するはずもないが… 引っかかる言葉は『蓮華城』からの『護衛』任務、…何かあったような気がする。 嫌な予感が、嫌な予感だけで済まされればいいのだが、と立ち上がり窓辺にたたずんで虚空を仰ぐ。 ――検討を、祈るぞ。 無事に帰って来い、シカマル、チョウジ、ヒナタ。 綱手の心配を嘲哂うかのように、動き出した歯車は抵抗することもなく カタカタと音を立てて速度を速め、徐々にその動きを狂わせていく *** 「信じられぬ、妾の意向を無視しおって」 姫はご機嫌斜めだった。 それもその筈。 一人で、それも召使い無しで行けると思っていた隣国への訪問が護衛付きになってしまったのだ。 確かに召使いは一緒ではなくとも忍者が一緒では同じではないか、と先程から彼女の中で家臣に対して 怒りの感情がふつふつと沸き立ちつつあった。なにか、家臣どもに大きく裏切られた気分である。 そういう縛りが嫌いだと言うことは、幼いころから彼らは知っているはずなのに彼らは妾に対して 心配性すぎるのだ。 「妾も、もう大人じゃというのに…」 子ども扱いしかしない彼らに対して、湧き上がるのは失望。 子供としてしか見てくれない彼らに対して、大人として同等に扱って欲しい願望。 叶うはずもない事を自らの内で嘲笑しながら、姫は外の景色を眺める。 その景色だけが、自分を受け入れてくれるような、そんな気がして。 ただ、青い空に想いを馳せる。 自分を一人前のようにしか見てくれない、冷たい寒空を凍るような瞳で見つめて。 ただ、白い雲に意識を傾ける。 自分だけ取り残されたような感覚に陶酔しながら、乾いた瞳を瞬かせて。 ▲ 【あとがき】―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― なんだか某ファンブックにお友達そっくりさんが某先生のコスプレして載ってる気がしてなりません。 他人の空似だといいですね!しかし都道府県一緒だとまさか…ってなり…いや、ハハハハッハ! さて、この連載、各話が短い!!と思っていたら、いつもの文章の半分ぐらいだったという…ってそりゃそうだよなあ。 あと、蓮華城とか勝手に作りましたが城の名前の既出および他サイトさんと話・設定・ネタ被りあったら、ご一報ください。 ホンと貧相な発想力しかない上に、サイトめぐってネタ被り確認してないからこういう事言います、凄く小心者です。 あーあ、一人称未確認ではないにしろ口調が偽者過ぎだぜ、それからメンバー…カオスですいませんでしたあああ! それにしても自分で決めた癖してこれ動かし難いですハハハハハ会話無いぜ! こりゃ無いぜ! 2009.01.05 灑渦 |