※Re:ハマトラ半ば能力の衰えてきたみんなのヒロイン不在番外編




 「くっそ、なんだよこれ」
 過剰に電気を摂取しようとしていた、異常に発熱していた、幼児退行していた、その他もろもろ。その事実を受け入れられない二人は病院のベットのふちに並んで腰かけ、一人は顔をしかめひとりはレンズ越しに白天井を見上げていた。しかしレシオは一つ確信めいた推測が浮かんでいた。そう、のことである。彼女にも確か症状は異なるが、同じようにミニマムを使えば現れる副作用のようなものがあったのではなかっただろうか。彼女がなぜそうなったのかは未だ不明ではあるが、彼女から何か解決の糸口が見つかるのではないだろうかとレシオは考えた。ここはひとつ相方に相談してみるべきだろうか。あの時のことを。彼女がこの世の悪のように凶暴で狂気に満ちているのではないかと思っていたあの時。レシオと彼女が出会った時の、あの話を。

 「……俺には一つ、確信はないが身に覚えがある」
 「珍しーじゃん、レシオ」
 「だ。アイツのミニマムも発動後副作用があったのを、俺は確認している。俺たちがこうなるよりも前に、彼女には症状があった。一体どうしてそうなったのかは不明だが、彼女は能力発動後、人の血を吸わなければ能力が暴走し血液を求め本能のままに人を襲う。アイツがそうなるのを避けるために俺は頑なに彼女に能力を使わせることを拒んだ。それがあの拘束衣の理由だった」
 「…なに今更そんな話してんだよ、もうアイツはここにはいないだろ。嵐みたいにやってきて突然消えて、俺たちの間にぽっかり穴だけ開けていっただけだったな」
 「やめろ、バースデイ。アイツは、たぶんまだ生きている」
 「…で、ちゃんのことがどう関係してるって?」

 「彼女がミニマムによる副作用を持っていたとするなら、以前に同じような事件があったはずだろう。それを洗ってみれば俺たちがこうなった理由が分かるかもしれない」
 確証はないがな、とレシオは苦笑した。それでも試さなければならなかった。



(20141223)まぼろしと心中してみたい