※7話番外編(カマをかける前)




 「本当に知らないのか、
 「知らないわ、気になるのなら調べればいいじゃない」
 「調べても出てこねーじゃん。情報屋も知らねーっていうし、本人も知らねーんじゃ打つ手はねーよ」
 ノーウェアにてコーヒーを頼んで砂糖をぽとぽと入れながらハマトラの二人組に答えればナイスはふぁ、とあくびをしながら答えた。「、アートどうしてる」
 「さあ? 私の知らないところで動いてるみたいよ。詳しくはわからないわ」
 砂糖を死ぬほど入れたコーヒーをくるくるとスプーンでかき回す。飲めないもののこうでもしないと起きてられないのだ。仕事に徹夜は必須だ。
 「そういやさぁ、お前今度はアートん家に住み込んでるんだって?」
 「依頼よ。ちょっと気になることもあったから自宅警備も兼ねてるわ」むしろわたしのほうが警備されてるってほうが正しいのかもしれないな、と考えていればコネコちゃんがあわあわと慌てはじめる。
 「だ、男女が一つ屋根の下なんてふっ不健全な!」
 「あの真面目なアートさんが私に手を出すと思う?」
 「あっそれもそうですね…」
 にっこりとコネコちゃんに笑いかければてへへ、と彼女は頭を掻く。

 「でもそろそろお役御免かしらね、わたしにできることは終わりそうだし」
 ごくり、とコーヒーを飲む。苦いけれどやっぱりこれがないと落ち着かないのだ。少し冷めた、とんでもなく砂糖の入ったコーヒー。

 「なぁ、」ナイスがカツンカツンと足音をたててこちらへ近づいてくる。わたしの隣に座って頬杖をついた彼は、少し冷めたコーヒーをすするわたしに何かを見透かしたように問いかけた。きっと彼は知っているのだ。今回の犯人のことを。そう、モラルのことを。だからこそ、情報を知っていそうなわたしに問いかけようとしているのかもしれない。「お前は何を知っている。今回の事件について、お前がつかんでないわけがない」
 「…そうね、ある程度の可能性は絞って絞って絞り切ったの。ようやく両の掌で数えられるくらいになった。でもあなたに教える義理はないわ。でも一つだけ言えるのは、」
 わたしは少し考えて、一つの真実から導き出される結論の一つを彼に告げる。

 「わたしはたぶんあなたを知っていたの、あなたは知らないかもしれないけどね」
 今彼に言えるのはそれだけだ。彼はきっと真実にたどり着くだろう。わたしももう少しでたどり着く。あと一つ鍵が開けば、わたしはきっとすべてを思い出すのだ。でもその鍵は、まだ固く閉ざされたまま見つからない。わたしがなぜこうなってしまったのか。マスターにごちそうさま。とお代を渡して、わたしは店を後にする。

 見つけなければならない。ただ、そう感じていた。



(20141216)さよならは近いのかもしれません