気づいたらコテージのベッドで眠っていた。一体どうしてこんなところに…と疑問に思ったのも束の間。ズキズキとした頭の痛みとともに記憶が蘇ってくる。
 (そういえばわたし、採集中にダウンしちゃったんだっけ)
 それにしても山まで行った記憶はあるのに、戻ってきた記憶はほとんどない。山に行って…木材を運んでて…よけろ、とかそんな言葉を最後に、わたしの視界はブラックアウト。それ以降の記憶はない。採集場で倒れたってことはやっぱり誰かに迷惑かけちゃったのかもしれない。そもそもどうやって帰ってきたのかわからないということは、誰かに運んでもらったってことだし。うーん、と悩んで頭を掻けば無残にもたんこぶができているらしく、触れば痛みを伴った。

 目が覚めてからしばらくして、トントン、とドアがノックされた音が響く。誰だろう、と思ってドアを開ければそこには田中君が立っていた。(なんで田中君?)という疑問がふっと浮かんだんだけれどそういえば田中君も山の方の採集だったっけ、と思いだす。倒れた時にちょっとだけ頭を強く打ったから少し記憶が飛んでるのかもしれない。田中君はドアの前に立ったままもごもごと少しだけくちごもりながら言葉にならない言葉を発していたけれど、少ししてちゃんとした言葉が聞き取れた。

 「………大丈夫か」
 「えと、一応立って歩けるかな……長くなりそうなら入る?」
 「……いや、遠慮しておく。貴様が大丈夫と言うのならば…それでいい…。これは貴様への餞別だ…ありがたく受け取っておくがいい」
 「あ、ありがとう」
 受け取った紙袋にはみんなからのお菓子やらなにやらいろいろなものが入っているみたいだった。中には少し奇妙なものもあるみたいだけれど、ありがたく受け取っておくことにする。

 「…し、忍び寄る魔の手には、き、気をつけろ…」
 ぽんぽん、と頭を撫でて田中君はさらばだ、と去っていった。撫でられた場所がすこしあたたかい。

 胸がどきどきするのはきっとダウンしたせいじゃないはずだ。














()(20120000::そうして落ちるばかりだソザイそざい素材)別所リクエストSS