「人間よ…俺様と共に遊戯に興じるがいい…!」
田中くんがお出かけチケットを手に、声をかけてきた。今日はいつも一緒に過ごしてる七海ちゃんが日向くんと砂浜までお出かけするみたいで、もしかして二人で追いかけっこするのかなーなんて考えた。とっても楽しそうだ。他の人に誘われなかったらお部屋でごろごろお昼寝しようか考えてたんだけど、一人でいたってやることもないしそれに頷いて了承する。ウサミちゃんにお出かけチケットを渡すと「ぷーくすくす」とか「がんばってくだちゃいね!」と声をかけられて首を傾げる。田中くんは「早くしろ」と言ってすたすたと先に行ってしまった。わたしも慌てて後を追う。

「珍しいね、田中くんが誘ってくれるの」
「フン…タナトスの声を聞いたまでの事…所詮全ては神の戯れにすぎない…偶然が積み重なり必然となるのだ…」
「えっ、わたし死相でてるの?? うわぁ不吉だなぁ…」
「宇宙に漂う無数のカタストロフィ…フン…この勝負俺様の勝利だ! 俺様の封印されし左腕をわざわざ出すまでもないな…」
田中くんのいう言葉がだんだんわからなくなってきたところで映画館についた。なにやらぶつぶつと呟く田中くんは真剣に何かを考えている様子だ…わたしはポップコーンの香ばしい香りで思わず顔が緩む。やっぱりポップコーンはキャラメルを食べなきゃだめだ。おいしそうだなぁとぼんやりそれを眺める。

「なに見るの?」
「魔獣たちが木々立ち込める迷宮に迷い込み…」
「あぁ…えっともしかしてそれって…」
「後で咽び啼いてもいいようティッシュは1箱用意しておくことだな…!」
「あ、うん…わかった」

 かわいい動物の出てくる映画を見た。
 田中君と過ごすのも、悪くないのかもしれない。














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