(※ほぼ会話文。みんな1度は考えた。) 「……た、たたた田中君はどうコマンド回避したの?」 「フハハハ! フン、笑わせてくれるわ! 俺様は"制圧せし氷の覇王"だぞ! 貴様ら人間とはすべてが違うのだ! 思考も原理も存在も次元も根底も……何もかもがな!」 「り、理由をごまかさずに早急に答えてよ…! みんなもおかしいけど日向くんもおかしいよね…仲良くなったら下着の交換なんて卑劣な行為はわたしにはできない!…全員分の下着はどこから調達するのかとかちょっと悩むんだけど先にカケラを集めたとおっしゃる田中君先輩はどうやって回避したのかちょっとだけでも教えてくれると嬉しいんだけど! ねえねえ!」 「…うっ、結界の前だ! 普通の人間であるお前にこの結界を超えることなどできんぞ…!」 一瞬だけ引き下がりそうになったけれど、内開きのドアだから押せばなんとかなるものだ。ええい! と閉まりそうになるドアに突っ込めば「貴様なにをする!」という遺言とともに結界は破られ…いや、ドアの内側に入った。ぱたん、と扉が勢いで閉まった。 「教えてもらえるまで帰らないからね! 洗いざらい白状しちゃいなさーい、このこの!」 「や、やめろ! 貴様、俺様の左腕が疼き出す前にそこを退け!」 「白状する気になったか! 口を割るまでどかないからね…! 身動きできないよ!」 勢いで馬乗りになったわたしは田中君の襟首を掴んだ。 「……」 「…田中君?」黙り込んだ彼に首を傾げる。一瞬だけ襟首を掴む手が緩んだところで彼がぐいっと半身を起こした。そのせいか、奇妙な体制になったのは確かだ。 「貴様…これがどういう状況か分からないとは言わせないぞ…」 「田中君よりもわたしのがここは優位なとこだよ! 間違いなく!」 「ええい黙れ! 貴様には若干の致命的欠陥があるようだな…! この状況で何も感じない…だと…!? 機関の者ですら気付く状況にも関わらず、貴様の思考力ときたらミミズ以下…! 俺様の魔獣達の足元にも及ばんわ! …俺様の左腕が疼き出す前にそこを退けという言葉が耳に入らなかったのか…馬鹿め…!」 「み、ミミズ…」 「貴様の魔力は日向以下だ…! 身の程を知れ!」 「えええ、やだよ! せめてちょっとくらい上のはずだよ? ちょっと改めて考えてみてよ!」 「フン、貴様ごときに話す理由はないな!」 いくらわたしがへこたれないといえどもやはり何度も言われればへこむもので、気づけばわたしの涙腺には涙が溜まっていた。 「ど、どうしてそんなに頑なに拒むの? わたしのどこが悪いの…ねえ…どうして? 魔力が足りないから? ちょっとくらい教えてくれたっていいのに…」 「う、な、なん…だと…!? す、すまない…人間の言葉にしては少しばかり、こ、酷であったかもしれん……だ、だが悪意は無い! すみませんでした!」 「…う、じゃ、じゃあ、教えてくれる?」 こぼれそうになる涙を制服の袖で吹きながら田中君を見上げれば、田中君がストールに少し顔を隠しながらそれとなくわたしから視線を外した。 「あ、アストラルレベルが足りないものは見えないのだ」 「……え?」 「アストラルレベルが足りない者にはその瞳に映すことなどできない! そうあの特異点には忠告した、それだけだ」 「よ、要約すると『裸の王様』…的な…田中君は実はノーパンです、と…いうことかな…」 「き、貴様俺様に魔術での決闘を挑むつもりか…! フハハハ、面白い! いいだろう、この田中眼蛇夢…貴様ごとき人間など地獄の豪火で焼き尽くしてくれる…」 「そ、それだ…その手があったのか…確かに盲点だったかもしれない…じ、実はノーパンなんです、っていう設定もアリだよね」 「おい、その二つの耳は節穴だと言うのか…!」 「そうする…うん、ありがとう田中君! この恩は多分いつか返すね! じゃあね!」 (おまけ) 「ご、ごめんね…日向くん…わたしノーパンなの」 「…え」 「だ、だから交換はできないの! ごめんね!」 がしりと日向くんに肩をつかまれる。ひっ、と思わず声が出た。 「それは違うぞ! 下着はパンツだけじゃない、上の方を貰おうか!」 「そ、その手があったの! ていうか日向くんどんだけ下着欲してるの? 欲求不満なの? はぁー、わたし完敗だよ…」 (▲)(20121104:凍てつく果てのスペクトルソザイそざい素材) |