(服飾関係ヒロイン//田中に嫉妬//うすらGL)



 制服を改造することはとてもすきだった。もともと造り出すことは何かに似ている。ゼロからつくるのも、イチから構成を壊して造るのも、結局の所わたしの前ではただの布にすぎない。布はどうあがいても布だ。しかし一枚の布ならば縫合すれば生地になり、そして服にも日用品にも姿形を無数に変える。


 「きれい」
 レストランから出て行く、ふわりと したしなやかな金糸の髪、うつくしい瞳、そして極めつけは陶器のような肌。鞣して伸ばして革にして、そうしたらずうっとうつくしいまま。そうしてしばらく彼女を目で追ってから、何を考えているのか、少し正気に戻ったわたしはぶるりと身震いした。急にあらわれる途切れ途切れの思考。それは常軌を逸したものでそれでいてわたしの興味を激しくそそった。ああ、もしあの人の事が手にはいるなら。


 「きれいだよなぁ」
 聞こえるはずのない声に、わたしはぴくりとして声の方を向く。そうして「よっ」と言いながらわたしの目線に合わせるようにしゃがみこんだのは左右田くんだ。そりゃあまあ彼女あるところに彼はそこそこいるほうだから、居てもおかしくはないかもしれな い。でも彼より、問題は『彼』のほう。


 「また田中と一緒なんだよなぁ、お前もその、辛いよな…」
 「そうだね」
 「お前もさ、田中が好きなんだろ? その、協力してくんねーかな」
 「気が向いたらね」
 ぱんぱん、とスカートを払ってプールサイドのビーチチェアから立ち上がる。残念なことに左右田くんはわたしの興味の対象が田中くんだと思い違いをしているらしいけれど、わたしの興味はいつだって彼女なのだ。残念ながらそういった意味ではライバルだけれど純粋なる興味からきているこれは果たしてそういうものなのだろうか。押し込めなければならないような、誰にも言えない秘密。こんな異常な考えを持っているなんて分かってしまえば、 きっと。

 後で作戦会議だぞ! と意気込む左右田くんを振り返らずに片手をあげて適当に返事をした。















()(20121003:トワルの皺ソザイそざい素材