「うおお、これバラしても」 左右田くんがそう言い終わらないうちにわたしはその口を右手で塞いでいた。もごもごなにか言ってるみたいだけれどわたしは首を振った。「だめ」 ぱっと手を離せば少し顔を赤くしたような左右田くんがへなへなと後ずさる。無事に意識を取り戻した5人にあらかた苗木くんたちは説明をしてから出航すると告げた中で島に残ると言った彼らに、対応した結果がこれだった。わたしとしては移動するなら我が子同然のこのこたちも引越ししなきゃいけないから大変なのだ。結果的に現場に一人残ったほうが得策という話し合いの結果はうまくいくのかはわからなかったけれどうまくいくことを祈るしかない。 「なあ…本当にダメか? ちょ、ちょっとだけでもいいんだけどよ…」 「左右田さん! ちっともお話が進みません…お黙りなさい!」 きらきら目を輝かせる左右田くんをソニアちゃんが一蹴する。これが一番効果があるようだから、放っておいても大丈夫らしい。案の定左右田くんは名残惜しさを顔に残しながらも、ずいぶんとおとなしくなった。 「話を続けてくれないか?」これは日向くんだ。わたしはえっと、と言葉を続ける。 「基本的にわたしはお部屋にいるから、報告は毎日2回お昼と夕方に代表者がくること。とくに変わったこと、誰か起きたり誰か体調が悪くなったりしたら遠慮なくきてね。反応できるかはわかんないけど、わたしにできそうならなんとかしてみる。それから君たちの部屋はあっちの世界とおんなじよーなコテージがあるから各自そこを適当に使って。大体の物資とか食料とかここで取れないものは本土から定期的に送られてくるから、飢えて死んじゃうことはないよ。あ、わたしのごはんは使用人のマリーちゃんが運んでくるんだけどマリーちゃんには無用心に近づかない方がいいよ! ぽきって折られちゃうからね!」 「ぽきって何を折られるんだよ…!」 「うーん、骨とか……かな?」 「まんまじゃねーか! そんな物騒な奴うろつかせてんじゃ…」 言いかけた左右田くんが口をつぐむ。よく自分の立場をわかっているみたいだけど空気が読めないのは変わりないみたいだ。要するに、物騒なのはマリーちゃんだけじゃないってこと。 「…うーん君たち表ではそういうことになってるみたいでしょ? 残るって連絡したらマリーちゃんが怒っちゃってどうしてもっていうからさ、本気で殺そうとでもしなきゃマリーちゃんも何もしないし安心していーよ。わたしたちの目的は君たちを殺すことでも殺し合わせることでもない更生を図ることだからね。もう説明は終わったしもうみんな疲れてるから、解散ね」 適当に散策してていーよ。と告げてわたしはお部屋に戻る。 (▲)(20120907:お題ソザイそざい素材) |